SPACE RUNAWAY [原作・監督]富野喜幸  宇宙逃亡なのか、逃亡する宇宙なのか、宇宙を逃亡するのか、それは物語で語るしかない。 が、まさしく伝説巨神イデオンのメイン・テーマを表す。 ●試み  私たちスタッフがストーリーの骨格を創り終わった時、音楽をどなたに託するか?  と考えた時、全く迷いはなかった。スケジュールが合い、ロボット物でもやってみると 言って下さるなら(予算もだが……)すぎやまこういち氏である、と。  理由は明白であった。私たちは明確に音楽を欲しいと考えたからだ。無論、自己主張 だけがたつものでも困るが、かといって、BGM的な単なる雰囲気を創るだけのものは、 必要しないと考えたのだ。  映像は軽やかであろう。明るいだろう。なぜならば、Space Runawayの終章は”死滅” かも知れぬのだから、それに至る”生”は輝いていなければならないのだ。  音楽は、生命の鼓動だと考える私たちスタッフは、すぎやま氏の音しか聞こえていなかった。  その結果が、このアルバムに収められた音楽である。  氏は明確に応じて下さった。音楽にレベルはない。つまり、安易な妥協などで音楽は 創れないのだ。本物でありたい、と。  私たちは、今や、氏の創られた世界にひきずられて物語を描いていくしかないのだが、 与えられた結果は、私たちにプレッシャーとなっている。  受けとめられるのか? と。  しかし、それはそれ良い。またもや、やるしかないと書くのは口惜しい。本来なら、 氏の音楽をも含めて、イデオンの世界を、私たちスタッフの掌(たなごころ)として 使いこなしてみせなければならぬのだが……。  イデオンの至る”死滅”とは、何か? それは、明かすわけにはいかない。が、絶望 でありたくはない。反語としたいのだが、さて? …… 1980年、オン・エアの前日の夜    日本サンライズ 第一スタジオにて 伝説巨神イデオン KICA2167(サントラ、93/12/22発売) 初出は同タイトルのLP SKD(H)2018 80/7発売