<特別対談> 『ナディアの魅力は!?』 庵野秀明×菊池通隆 ★キャラクターの魅力から、  音作りの秘話まで、  二大クリエイターが語り合う。 庵野秀明(あんのひであき) '60年山口県出身。高校時代より自主製作アニメにのめり込み、大阪芸大在学中にGAINAX のオリジナルメンバーらと出会う。'81年日本SF大会DAICONIIIのオープニングアニメに 作画として参加後、同IV作画監督を経て『風の谷のナウシカ』『メガゾーン23』など商 業作品に参加。代表作に『王立宇宙軍/オネアミスの翼』『トップをねらえ!』『ふし ぎの海のナディア』等がある。 菊池通隆(きくちみちたか) '63年岩手県出身。『ルパンIII世 パートIII』で原画マンとしてデビュー後、スタジオ ぴえろの”魔法少女”シリーズを始め、様々な作品に参加する。『超音戦士ボーグマ ン』ではキャラクターデザイン、『冥王計画ゼオライマー』ではキャラデザと作画監督 を同時にこなす。  最近ではパソコンゲーム『サイレントメビウス』の作画監督を務めるなど、ジャンル にこだわらない活躍を続けている。 −では最初に、菊池さんに『ナディア』を御覧になっての感想をお聞きしましょう。 庵野(以下A)「何か文句でもあったら(笑い)。 ナディアは性格悪いとか、ジャン はなにもしないとか(笑い)」 菊池(以下K)「正直言って、最初に観た時は、ああ、ナディアって性格悪い子だなァと(笑)」 A「本当に性格悪いんですよ。ナディアって。」 K「ジャンがあんなに一生懸命にナディアのためにやってるのに、そりゃないんじゃな いの、と(笑い)でもナディアって見てると、ああ本当の女の子だなあって思いますね」 A「すげーリアルでしょ」 K「だから、今までのアニメによくありがちな、作った女の子のキャラじゃないな、と」 A「いわゆる、お姫様タイプって言うヤツへの嫌がらせですね。ガイナックスの伝統(笑)」 −ナディアもヒロインなのに、随分な言われ方ですが(笑)。各アニメ誌の人気投票で は、ランクがかなり高いですよね。その秘密とかあるんでしょうか。 A「みかけにだまされてるだけだったりして。なんといってもアニメ屈指の露出度の高 さですから。常に半裸、ヘソ出してないと気が済まない娘(笑)」 K「あ〜もうHですね。僕なんか、かないませんよ」 A「貞本氏(キャラデザイン)の感性が大バクハツ。故意に露出している場合以上に、 割と普通にしな(前2文字傍点)作ってる絵とかが『うわ〜!H!!』という感じで (笑)。菊池さんの方はそういうところって如何です?」 K「H度で比較されるとは。トホホ…ですよ。」ボクはHな絵を描こうと思って描いてる わけじゃないんですが。みんな何かカン違いしている(笑) A「えー! そんな事無いんじゃないの(笑)」 K「でも、リアルなHと言うところが凄いですね。性格もリアル、Hもリアル。そうい うところがナディアの魅力なんじゃないんでしょうか。とか分析してみたりして(笑)」 A「超刺激的な格好で目の前をウロウロされて、凄く尽してもらってるのに、ジャンに はああいう態度を取る。そんなのが魅力になっているのだろうか(笑)」 K「それが良いんじゃないでしょうか(笑)。庵野さんもこんな目にあったことがあるとか」 A「いやあ、合ってない、合ってない(笑)」 −次はナディアの音楽についてお聞きします。音作りの面で苦労されていることとかありますか? A「いや、いっぱい苦労してますよ(笑)。何から話しましょうか。オフレコになるのが 多いと思うけど(笑)」 K「庵野さんの方から、作曲家さんに直接注文してBGMを作ってもらってるんですか?  結構シビアな注文を出されるとかってウワサで聞いていますけど」 A「ええ、そうです。だいたい頭の中にあるモチーフを、『こんな感じで』と伝えるんで すが。でもそんな時の『感じ』って言うのは、全部実際にある曲ですね。だからこのCD やTVのBGMを耳にして、引用した原曲を推理するという楽しみ方もできます(笑)」 K「へえー。じゃあ効果音なんかはどんな感じで?」 A「それには新兵器を使ってます。とか言ってビデオウォークマンなんだけど(笑)。 参考素材をまず8mmビデオに落して、それを音響さんに見てもらって、これこれこうし て欲しいと伝えてます。これが結構良くて、口で伝えるよりも確実にイメージが伝わり ますよ」 K「じゃあボクも、その時が来たらそうしようかな。新兵器を買って(笑)」 A「でも素材とまったく同じものが上がってきたりして。まあ、それが良いんだけど(笑)」 K「そのせいかもしれないけど、ナディアの音って、特撮好きのボクが聞いていて、 ピンピンと来たりするものがたくさんあります。音楽の傾向はやはり…?」 A「そうですね。今風の音は極力使わないで新しくても70年代どまりのイメージで曲を 作ってます。カントリーフォークとかアコースティックとかジャズやクラッシックとか ね。テクノの前の時代、せいぜいニューミュージックまで。ボクがこの番組の視聴者ぐ らいの年令の時に洗礼を受けたモノです。だから解る人には元ネタが解ると思いますね」 K「昔、騒いでいた血が再び目覚める。そんな感じの良い曲が多いですね。知らない人 にも新鮮にで良いんじゃないでしょうか」 A「これからも良い曲がたくさん出てきます。期待してください。」 −では最後に、今後の「ナディア」についてお聞きしたいのですが。 K「どうなるんでしょう。一ファンとして聞いてみたい(笑)」 A「ナディアはどんどん性格悪くなります。ジャンが報われる日は来るのであろうか(笑)。 来なかったりして」 K「そりゃヒドい(笑)」 A「まあ、冒険活劇らしく大ドンデン返しを用意してますので、毎回注意深く見守って いてください。見てのお楽しみです」 K「なんて詳しくないストーリーなんだ(笑)。じゃあ、原曲当てクイズをしながら 毎週見てよう(笑)」 A「戦後30年のアニメの総決算が『ナディア』ですから。楽しみにしてください」 ふしぎの海のナディアVol.2 TYCY-5144(サントラ、90/9/27発売)