ライディーンの響き 富野喜幸  僕にとってのあの作品は、外に向かう眼をつくらせ、反骨を教えてくれたものとして、 なつかしく思わせる響きを持っている。  第一話にあった”悪魔の時代が始まったのだ”という科白と、敵役のガンテという乗 物もどきに象徴される作品創りが貫徹されたら、という自負は未だにくすぶっている。  それ故、26話までにみられる健康的な明るさというのは、ライディーンの変節のプロ セスの現れであって、けして本意ではなかった。オカルト・ブームの否定という制作プ ロセス上の意外なブレーキが、後期の色彩創りには存在しなかったらしい、という事実 は前期の当事者としては不可解である。  とはいえ、頭初、小森先生(*)に神秘的な色彩を濃くした音楽を、 とお願いしておきながら、マーチ風のオープニングを採用したというあたりに、すでに 変節へのプロセスが内包されていた事を認めざるを得ない。  しかしながら、次々とクリアーしなければならなかったロボット物の規範をいかにの りこえようあがいたか、それは今思い返してもかなりのボリュームだった。それが物語 創りへの自身の反骨の芽を生んだことも事実である。隠しおおうことない僕自身のマイ ル・ストーンであった。  ライディーン、好きな響きと告白しよう。 (*)ライディーンの音楽を担当された小森昭宏先生のこと。 テレビオリジナルBGMコレクション 勇者ライディーン CX-7003(1980/11発売)より