ロマンアルバム 無敵超人ザンボット3より つたわったメッセージ 富野喜幸  ぼくは内容についてふれてみたいと思います。  テレビをごらんになるファンの方々も最近はかな りするどく、物語をくみとっていらっしゃるようです が、みなさんがどこまで気がついていたかどうか わからない点をひとつとりあげてみたいと思います。  「ザンボット3」という物語をささえてきた家族とい う問題、ひいては男と女の役割りということ、男た ちは女をまもるために外の世界にでて戦うもので あり、女たちは家をまもり、男たちをささえるもので ある。  と、こういってしまうと年寄りくさい考えと思われ るかもしれません。しかし、人間がながいあいだ、 恋をし、子を生み育て、生活をしてきた事実を認め ない人はいないでしょう。家族とは一人の“人”が 生まれ、育っていくための土壌なのです。それを 祖父母が父母がどのように営なんできたのかとい うことを「ザンボット」のストーリーを進めるうえで、 この、“家族”の役割りをいっしゅんたりともわすれ たことはありません。  ただ問題なのは、たいへん理想的な家族になっ てしまったことが残念といえば残念です。みなさん はいずれは父に、母になるでしょう。そのときに子 どもに対してどのように接したら良いか不安をいだ いたときに、「ザンボット」のなかで、ファミリーたち のしたことを思いだしてくださったら、たいへんしあ わせです。  それは、みなさんが子どもとしての不満を御両 親に対して持ったときもおなじなのです。御両親 はどういう形であれ、子どもを愛しているものな のです。「ザンボット」のなかのおとなたちとおな じ思いを持っていらっしゃるのだということに、思 いをひろげていただきたいのです。  人はそれぞれに立場があり、主張があります。 「ザンボット」のなかの人々は、一人一人の生活 をせおっていました。それが一つのファミリー以 上のつながりを予感させるエピローグがあったか らこそ、みなさんに共感していただけたのではな いかなと思います。  そして、ミチと勝平と香月の三人の関係のなか に男と女の役割りをこめてえがいたつもりです。 永遠にかわらない人の行為として・・・・・・・・・。  ただ、いまにして残念なことはけっしてめぐま れた条件のなかで制作されたものでなかったの で、身の毛もよだつようなしあがりになったこと が幾度となくあります。それを思いおこすといま だにいかりすらおぼえます。しかし、それをのり こえてでも作品を残そうと協力してくださったス タッフの方々には心から感謝します。  そして、ときがたつとともに、「ザンボット」にこ めたメッセージがつたわりつつあるという事実 にたちあったいま、製作当時のいかりが少しず つやわらいでくることはうれしく思えるのです。  そして、この事実に直面したとき、なぜもっと じゅうぶんなしあがりをさせられなかったのか という後悔になやまされもするのです。  ドラマのなかで、死んでいった数多くの人々 にすまないような気がします。しかし、生きの こった人々がまちがいなく一人だちしているで あろうという実感をうる今日、この制作する機 会をあたえてくださった関係各位に感謝する しだいです。ありがとうございました。