ザンボット3 神ファミリーの伝説 として 原作・監督:富野喜幸  テレビアニメーションの中でも、ロボット物と称されるものには、 一見、作品が生み出せないと思われるほどの種々な(*)条件があり ます。この条件を逆手に取り、また、過去、この種の作品が触れな かった点を掘り起こした作品を創ろうとしたのが、ザンボット3で した。  ビアル星からの移住者、神ファミリーと、御先祖が残してくれた キング・ビアルとザンボット3という宝物の設定は、制作条件を突 破し、新しいキャラクターを生もうとする政策スタッフ一同の情熱 のあらわれでした。  この設定から出発して、ガイゾックとの闘いを通じて描かれたザ ンボット3の物語とは何だったのでしょうか?  闘いの被害者の存在を描き、批難される主人公とファミリー、死 を賭けた男たちのメロドラマ、善が悪かも知れない不安な結末、等 々、一つ一つの現象を語っても、それはザンボット3の一面であっ て、全てではありません。  御先祖が残してくれた遺産は、その時の御先祖たちの考え得る最 大の理性と知性と”種”に対しての思いやりだったのです。ガイゾ ックなどという絶対悪的な存在などは、神ファミリーの伝説として 終わらさせるべきものなのです。  ところが、バンドックは地球をキャッチして、伝説を現実のもの としました。神ファミリーは遺産を残してくれた先祖に対してと、 住まわせてくれた地球に対して、戦う義務を負わされたのです。  しかし、これは神ファミリーという特別なファミリーの感じる義 務感でしょうか? 人間として生きてゆかねばならない、私たちす べてに言えることではないのでしょうか? ですから、物語の中で は神ファミリーを特別なファミリーとして描く事は避けたのです。  その上で、ガイゾックとの闘いを、社会そのものの寓話として促 え(*)、神勝平という一人の少年を通して、ファミリーを見、友達 を見、見方と思われる人々の種々相を見、敵たる中にもブッチャー とガイゾックという社会の構造をみせたつもりなのです。  それらは、勝平という少年にとっては、知るだけ、体験するだけ のことであって、判断を下せるというほど簡単な事柄ではありませ ん。しかし、それで良いのです。この伝説を通りすぎた巨大な体験 を通じて多くの人々が勝手に示してくれたものが何であったかは、 成人してゆくにつれて判ってくれるはずですから。  最後、目覚めていく勝平の瞳は、恐怖のない真白な瞳なのです。 あの瞳に生気が甦える(*)時、ザンボット3の真のメッセージを勝 平は知るでしょう。それは、ザンボット3を御覧になったあなたに も……。 オリジナルサウンドトラック盤 無敵超人ザンボット3 SKD(H)2004(1979年発売)より (*)は原文ママ