[PR]何かを探す前に無料占い:当たる!無料占い『スピリチュアルの館』

BATTLE ROYALE 外伝


第一部
試合開始


14

 身悶えるような快感が全身を貫いた。
 眩しすぎる良子の白い肌。薄く整った真っ直ぐな唇。かすかな酸っぱいような花畑の香り(これは何の花だろう。淡く赤い、綺麗な花びらだ)が、鼻腔をくすぐる。ぼさぼさに伸ばした髪の毛が顔にかかったわけでもなさそうだ。
 岩瀬也守(男子一番)は痙攣しながら良子の中に何度も射精し、いまだかつてない興奮と絶頂の中で陶酔していた。
 岩瀬は一旦、息をついて良子から離れた。良子の開脚された足の付け根のところの黒い茂みの中から白いものがたらりと流れでていた。
 それから岩瀬は目線を良子から離し、花畑の切れ目のところにある。小さな窪みのあたりへ目をやった。暗くてよくは見えないが、そこには佐藤雅之(男子七番)の死体があるはずだった。
 消防署を出た後、不覚にも岩瀬は恐怖の意識ばかりが支配して、やみくもに逃げたあと、この窪みに足を滑らせ落ちた。頭をしたたか打って、意識がふうと遠くなり、しばらくその場に倒れていた。
 やがて意識がはっきりしてくると近くに人の気配があった。
 そこに眼鏡をかけたあいかわらず暗い感じの佐藤がいたのだ。佐藤は良子の首を締めているところだった。良子はセーラーを引き裂かれ(おそらく佐藤の持ってた大きなサバイバルナイフのせいだ)、あちこちから白い肌と血の跡を覗かせていた。狂気がかった佐藤の目が眼鏡の奥で血走っており、おぞましい光景を見たような気がした。だけど、それは良子の写真で張り巡らされた彼の部屋で良子の写真群を見る、佐藤の目と……どこかちょっと似ていた。
 岩瀬の生徒手帳の中には昨年の運動会で彼女を撮っていた写真があった。彼女がブルマ姿で、徒競走の一位の旗を握っていた時の写真だ。横には同じく一位の旗を持つ岩瀬がいて、ツーショットの写真といってよかった。佐藤が新聞部のカメラマンだったから、カメラを持って歩いてても不思議がられることはなかったし、一位になった生徒を撮影しても何ら不思議ではなかった。そしてそれを一枚分けてもらった。彼女の写真は、隠し撮りしたものを含めると佐藤の部屋にはおさまりきれない程の量があった。さらに佐藤とは『良子ファン倶楽部』の仲間でもあった。この『良子ファン倶楽部』は現在、数名の仲間で構成されており(もちろん本人には非公式なものだ)、その中で良子と同じクラスになっているのは岩瀬と佐藤の二人だけだ。(そう言う理由で、佐藤が部長。岩瀬が副部長だ)主に女の子と接する機会のない、もてない君の集まりでもあったが、そこに岩瀬もいた。岩瀬は女性とは面と向かって話ができない不器用な男だったし、足が速いからちょっとぐらいもててもいいのだが(足の速い男子はなぜかよくもてる。岩瀬を除いて)、岩瀬にはちやほやされるほどの愛嬌も、容姿もなかった。
 中学三年になった時にがらにもなくプログラムに選ばれたらどうするか、などと語ったりしたことがあった。例の通称『良子部屋』と呼ばれる佐藤の部屋で。ここで良子に関すること以外の話で盛り上がったのはその時ぐらいだった。だから余計にはっきりと覚えてるのかもしれないが……。
 ――――どうせ死ぬんだ。だったら死ぬ前に好きな女を犯してでもしてから死んでやる。
 この言葉を言ったのははたして佐藤だっただろうか……。
 内向的で目立つことを嫌う俺たちには、とうていプログラムに選ばれて生き残れるとは思っていなかった。佐藤はあまり健康的ではないし、どちらかといえば運動音痴な方だった。おまけに顔はよくないのだから、まともに良子のような美人にお近づきになることなど、到底不可能だった。佐藤と岩瀬との違いは運動神経ぐらいだろうか。だけど岩瀬はケンカなどしたことがない。(やっても勝てるとは思えないし、自慢の足で逃げることの方が多い)テストの成績もお互い下の方で争っていた。良子と似合うのはやはり、剣道チャンピオンで顔もいい沢村とか(実際二人は仲が良かったし)、秀才で男らしい川田とか、クラスで一番男前の土岐公太(男子十三番)とかが適任だ。俺や佐藤ではまるで美女と野獣になってしまう。
 良子の最後の言葉が頭から離れない。『いやぁあ』……泣いたような震える彼女の声。――――たまらなく興奮した。彼女は脅えていた。普段なら決して振りかえることのない彼女が、佐藤を見ていた。――――羨ましかった。
 「うう……」
 かすかに声が聞こえた。――――佐藤だ。佐藤……生きてたのか!?
 岩瀬はおろしていたズボンを上げて、そっと窪みの方へと近寄った。佐藤が虚ろな目でこちらを見ていた。気を失っていただけだったのか!
 どこか体のずっと奥の方から憎悪がぐうと膨らんできた。こいつは……彼女を汚したやつだ。永遠の処女、川上良子を。
 側に転がっていたクィーバー(矢を入れる矢筒)から一本ブラックシャフトを抜き取ると、逆さに持って矢じりを下に向けて佐藤の頭めがけて突き刺した。びくびくと身体が痙攣を起こしてすぐに止まった。今度こそ本当に死んでるらしかった。
 意外とあっさりした手応えで、頭に矢を生やす『矢人間』ができあがった。作品としてはとても魅力のないものだった。
 何事もなかったかのように岩瀬はまた良子の死体の側に寄り回想にふけった。
 あの時ドキドキしてじっと凝視していた。ああ、この後どうなるんだろう。佐藤は良子を犯す気なのだろうか。出来の悪い、でもとってもリアルな映画を見ているようだった。それもアダルト。
 いつの間にか興奮した下半身の大事な部分をしっかりと握っていた。
 佐藤は力任せに良子の首を締めた。良子の身体ががっくりと力を失って、佐藤に首を締められたままひざから崩れ落ちた。身動きをやめた彼女の衣服を佐藤は剥ぎ取っていった。あまりにもまどろっこしく、時間がかかったように思えた。実際にはもっと早かったのかもしれないが、見ているこっちの方が早く脱がしてくれ、とはやる気持ちで見ていた。激しく股間を右手で擦っていた。少し窪んだここからでは、こっちの姿は見えないようだった。もっとも見える位置であっても佐藤が気がついた可能性は低いが。
 いよいよ佐藤が自分のズボンに手をかけた。剥き出しになった佐藤の性器が、すでに絶頂の時を迎えていた。一緒にいってしまいそうだった。
 膨張した股間がもう爆発しそうだった。そこにあったのは現実ではなく、テレビ越しに見る現役アイドルの裏ビデオのようだった。
 良子の下半身は暗くてよく見えなかった。とても見たかった。佐藤と良子が結合する瞬間を見たかった。
 佐藤の身体があお向けに倒れた良子の身体に重なった。――――どうなんだ。どうなってるんだ。まだ、本物は見たことのない、未開の地。――――見たい。
 ただそれだけの衝動で二人に近寄った。――――もう手が届く位置に来ていた。
 ぎょっとして佐藤が振りかえった。その時になってこんな近くまで来ていたことに気がついた。それでも視線は下半身のところへいった。佐藤の尻の下から良子の黒い部分が見えて、そこはすでに佐藤の性器に貫かれていた。
 唸りに似た叫び声を上げて佐藤を襲った。手にはアーチェリーで使うブラックシャフトが握られていた。
 佐藤の肩口に刺さった黒い矢は、そこから赤黒い液体を放出し、そのまま佐藤は逃げようとした。が、ずり下げたズボンが邪魔してつまずくと、仰向けに倒れて大事なところが剥き出しになった。岩瀬はそこを目掛けて、思い切り蹴り潰した。ぱきゅっ、と何かが割れるような音がして、佐藤は後ろの窪みに落ちた。口から泡を噴いて、白目を剥いていた。
 そういうわけで彼はそこで死んだ。いや、まあ実際には生きていたのだが。――――俺はもう人殺しなんだ。
 その思いが二度目の殺人を起こさせた。鮎川真尋を殺した時にはなんの抵抗もなかった。だが、できれば大貫慶子の方を殺したかった。狙ったのは大貫の方だったが、矢は真尋に刺さってしまった。
 美しい蝶は標本にされて眺められるのが宿命なんだ。良子だって佐藤の部屋にピンで止められていた。
 岩瀬の顔に引きつったような歪みが走り、ぴくぴくと頬を痙攣させて、本人はそれで笑っているつもりだった。大貫も襲ったのは気まぐれだ。他のいい女もためしてみるのもいいんじゃないかと思ったのだ。だが……。
 良子へのそれは愛だったはずだ。良子を慕い、彼女のことだけを想い、写真を集め、時には仲間と熱く語り合い、彼女を想い自慰することもあった。
 身近にいながら遠い存在として彼女を崇めるのが俺の、俺たちの彼女への愛だったんだ。
 しかしこいつは――――違う! 違ったんだ。佐藤は。やつは裏切った。死の制裁はその裏切り行為の懲罰ともいえる。彼女を愛しても、彼女に触れてはいけない。彼女に迷惑をかけてはいけない。それが『良子ファン倶楽部』の鉄則だったはずだ。なのに――――こいつは触れたんだ。良子に。俺たちの良子に。俺たちの良子を傷物にしたんだ。やつの欲望に彼女は汚されたんだ。……だから、俺が彼女を救うのだ。
 佐藤でなければ殺さなかったかもしれない。佐藤が良子を襲ったのでなければ、俺はあのまま良子のレイプシーンを見ながら自慰していたかもしれない。――――だけどダメなんだ。佐藤が相手ではだめなんだ。ファン同士の裏切り行為の代償は大きい。
 良子を見た。無様にさらけだした下半身が、うっ血してむくんだ顔が、すでに呼吸を止めて死斑の浮き上がってきている肌が、すべてがかつての美しさを失い醜くなっている。
 「愛してるんだ」俺は川上良子を愛してるんだ。誰よりも。
 声が震えて、自分の言葉に感動した。
 また岩瀬は良子の身体に乗りかかった。
 「愛してるんだよ」
 やさしく目の前の死体に岩瀬は語りかけた。その肌はすでに赤みを失い青黒く変色しつつあったが、それでも岩瀬は彼女の乳房を軽くいたわるように撫でると両手を使って揉み、くちづけする。今まで誰にもしたことがないほどやさしく愛をこめて。掌で、指先で、唇で、舌で。冷たかった。ひどく冷たかった。
 「寒いだろ。いま暖めてあげるからね」愛を……愛を交わそう。俺のすべてを受け入れてくれ。他のやつらとは比較にもならない。俺の愛を。佐藤とは違う……俺の愛を感じてくれ。
 激しく、そしてやさしく。彼は愛した。川上良子という人間を愛した。その魂はすでにこの世のものではなかったけど、彼はそれでも彼女を愛した。
 やつに汚れた身体を綺麗にしてあげるね。俺が精一杯愛してあげるから。そうすれば、佐藤がした悪意も癒されるだろう?
 岩瀬は……真実の愛を手に入れた。……と思っていた。
 もう一度良子の中へ射精した。恍惚の表情を浮かべて己の快楽に酔った。
 だが、その時頭をよぎったのは、かつての美しかった良子ではなく、先ほど彼が襲った少女二人だった。
 鮎川は無理だが……大貫の方なら愛せると思った。大貫慶子愛せると思った。
 そうだ。そうだ。他にもいるさ。愛せる女たちが。川上良子は死んじゃったけど。生きてる人間も。俺は狂っちゃなんかいない。生きている人間を愛するんだ。もう川上良子は十分に癒してあげた。無事天国へと行けただろう。
 俺が愛せる生きた人間。このクラスメイトの中で……。
 当然、大貫慶子。それから不良の野ノ原遥花(女子十七番)。病弱で薄弱な感じはするけど遊佐マリカ(女子二十二番)とか。あと可愛い感じがするのも何人かいるが、それよりこの美人たちの方が愛せると思った。
 みんな。みんな。可愛がってあげようと思った。みんな愛してあげよう。絶望なんてするなよ。俺が君たちを全員愛するまで生きるんだよ。

【川田章吾優勝まで あと35人】


次へ

トップへ


[PR]横浜で超魅力価格の記念写真を:記念写真が大人気、結婚写真、成人式写真