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F 〜ファナティック〜 前編



三剣「今回はF〜ファナティック〜のレビューにいこう」

 

秘書「ファナティックは恋愛アドベンチャーを主にリリースしているプリンセスソフトからリリースされた毛色が違うミステリーアドベンチャーですね」

 

三剣「その通り。キャラデザは成瀬ちさと氏だ。女子大生の時にプロデビュー。マーメイドの季節のキャラデザも手がけた人だな

 

秘書「今作の購入のきっかけは何だったんですか?」

 

三剣「一番の購入理由はプリンセスソフトが過去にハードボイルドアドベンチャーとしてファントムをリリースしていたからだ」

 

秘書「そういえばそうでしたね。複数のレビューサイトで「傑作」「殿堂」といった評価が並ぶ隠れた名作となりました」

 

三剣「だから普段リリースしているエロゲートはまた違うタイプだと思ったので結構期待して購入した」

 

 

<キャラ>

 

 

秘書「キャラクターです。今回のキャラデザは穏やかなイラストを描くことで有名な成瀬ちさと氏ですね」

 

三剣「うむ、女性が描く女性キャラというのは不思議と男性が描く女性キャラと違って印象というのが違うと思う

 

秘書「確かに好感が持てますね。見ていて安らぎがあります」

 

三剣「ま、コレに関しての洞察も面白いのだがそれは割愛して。キャラ紹介にいこうか」

 

秘書「はい、最初は主人公のウィリアムです。中堅のマスコミ会社の見習記者。記憶喪失でカレンに拾われて今のアパートに住んでいます」

 

三剣「最初から申し訳ないがこの主人公はあまり好きになれなかった

 

秘書「どうしてです?」

 

三剣「いや、基本的に口だけというイメージが強く残ってしまった」

 

秘書「具体的にお願いできますか?」

 

三剣「えーっと今回は切り裂きジャックを追うことが彼の仕事となるわけだが、当然ながら家族のミリア、アリシア、カレンには心配するわけだろ?」

 

秘書「ですね、そういうところも見所になると思うのですが」

 

三剣「なれば良かったんだけど、ウィリアムが心配かけたくないという部分に固執するあまり自分の身の丈を越えたことをしようとしているので、結果的に余計に心配をかけてしまうわけだ

 

秘書「身の丈を越えたこと・・ですか?」

 

三剣「身の丈というのはウィリアムは正直あまり頼りにならないタイプの男なので、苦労しているぞオーラが出てしまっている

 

秘書「なるほど、「心配してくれ」って雰囲気がそういっているわけですね

 

三剣「その通り、特に一番心配してくれるカレンに対してどっしりとした対応が出来ていない。だからこういう場合は素直に告白した方がいいんだ。何も知らせないと不安だけが心の中で増幅していまい心労となる。情報を有る程度知っていた方が心配する方も安心できるのさ

 

三剣「もちろんこういうパターンはカッコつけて「女に心配かけたくないぜ」という事が望ましいかも知れないが、それは「女は心配してもどこか安心している」という事を思わせるような男じゃないとダメだ

 

三剣「その点でウィリアムはダメ。カレンに頼りにならない部分を見抜かれていてそのくせカッコつけようとしているので余計にカレンは心配してしまっている」

 

秘書「ふむ、それにストーリーを進めていく上で「知らせなければならないこと」についてまでウィリアムは同じ理由で隠そうしてしますよね。そこの気付くまでの嗅覚と判断力が無いと思います」

 

三剣「ああ、気付いてもその時は取り返しのつかない事態になってからだからな、正直プレイしていて主人公の行動にこれほどやきもきしたのって余りないかも」

 

秘書「はは(^^;)、では続いてはカレンにいきましょう」

 

三剣「設定だけ見るとメインヒロイン的な感じだな」

 

秘書「そうですね、世話焼きでヤキモチ焼きで、もちろん朝主人公を起こしてくれます

 

三剣「カレンは数年前に記憶喪失で倒れていたウィリアムを自宅に招き、そのまま家族のように振る舞ってくれるとてもいい子だな」

 

秘書「巷で見られる幼なじみみたいな感じですね。彼女に関してはどうです?」

 

三剣「うーん、魅力はあると思う。しかし先ほど「メインヒロイン」といったけどそもそもメインヒロインというのが今作では存在しないので印象が強い割には思ったほど本筋に絡んでこない。印象が強いのに影が薄い・・・そんな感じだな」

 

秘書「続いてはフランです。主人公に意味深な言葉を放つ彼女。性格は何処か冷たくて、冷徹な印象を受けます」

 

三剣「とはいっても、ある時間である場所である選択肢を選ぶと彼女と共に生活することになるんだがその際は記憶喪失になる。んでその記憶喪失後の性格が言葉すらもろくに喋れない精神年齢が幼稚園児の状態になる(^^;)

 

秘書「私もそれに驚きました・・・というか狙いすぎかと(^^;)少しネタバレですが幼稚園児のような状態になってもその状態事態がさほど意味のある設定ではないですからね」

 

三剣「確かに・・・その設定も活かせればもっと深みが出ると思うんだけどなぁ」

 

秘書「それとプレイしてみた感じ・・・メインヒロインはカレンではなくてフランだと思いました

 

三剣「そうだな、どのルートでも彼女がメインの軸の一つとして展開する。話に一番絡んでくるヒロインは彼女だ」

 

秘書「続いてはアリシアです。ミリアの娘でウィルとカレンの妹的存在、もちろんウィルのことを「お兄ちゃん」と呼んでくれることはデフォです。でも難病を抱えていて彼女はそれに苦しんでいます」

 

三剣「病弱キャラというヤツだ。とはいえ特に珍しくもない性格と設定だが彼女の場合は家のマスコット的存在であるから本筋そのものにはほとんど絡まない」

 

秘書「ストーリーので一番最初に攻略できるキャラであることから察するに世界観を紹介する、つまり序盤の展開に適したキャラですね」

 

三剣「機械的な言い方だな(^^;)とはいってもとても彼女の特長はかわいいというより癒し系、ウィル曰く「この家で一番のレディはアリシアではないか?」といわしめる程だ、何となく分かるような気がする」

 

秘書「とはいうものの彼女が大人になったら一番何考えているか分からないですけどね。一番したたかそうです

 

三剣「・・・・こういうキャラが出る度に同じ事言っているな(^^;)

 

秘書「ボスも違うゲームですがミステリートの七尾はあまり好きではない、というより苦手なタイプっていっていたじゃないですか?」

 

三剣「いや、彼女とはタイプ違うだろ。アリシアは甘え上手だけど、七尾は甘え下手だからな、そこからの起点の違いが人格に及ぼす影響は結構あるような気がする」

 

秘書「なるほど、でも人格は違っても根底に通じるモノは一緒の部分もあると思うのですが」

 

三剣「ふむ、その話もなかなか興味深い・・・ってレビューの本旨から外れているから元に戻すぞ」

 

秘書「了解です。続いてはユエルンですけど・・・・いや、正直最初女だと思っていました(^^;)

 

三剣「俺もだ(^^;)声を聞いてびっくりした」

 

秘書「とりあえず・・・・男・・ですよね?でもウィリアムに対して友情以上の好意を持った行動をしようとしていますけど」

 

三剣「男なのは間違いないとは思うが、あの行動についてはどうなんだろ?本当なのか嘘なのか、それとも本気で嘘を言っているのかは分からないけどね。とりあえず謎キャラだなこの人」

 

秘書「キャラ的にはどうでした?」

 

三剣「うーん、インパクトが強いんだけど何処かパッとしないというか、謎のままに終わってしまったな」

 

秘書「とりあえず最終的には正体が明かされることになりますけど・・どうでした?」

 

三剣「うーん、最後まで正体は分からなかったけど別に分からないことについては何もなかったんだよ、唐突な正体だったし、ああいうことにするのならもっと別のにすれば良かったような気がする。伏線はちゃんとあったのにオチがそれに関係なかったのが痛いな

 

秘書「続いてはユサです。スラム街で占いを営んでいる、いわゆるお色気お姉さんですね」

 

三剣「序盤からウィリアムにご執心なのだがそのわけは後で分かる。このキャラの場合は深く語ってしまうと物語のネタバレになるので紹介は以上としよう」

 

秘書「続いてはアーニーです」

 

三剣「アーニーはスラム街に住んでいて、何というかたくましい感じの子だ」

 

秘書「そういえば説明書の中で「女」ってばらしてますけど、実はあまりばらしてはいけないことだったのでは?

 

三剣「それは俺も思った。物語中の描写ではアーニーに対して女性を連想させる単語は意図的に削除してあったからな。せっかくそれをしているのになんでばらしてしまったのかが分からない。その部分も結構描写があるのにな」

 

三剣「ちなみにアーニーの中で一番印象に残っているセリフは「ヘザーの客全員が兄貴みたいな優しい人じゃないんだ!」っていうセリフ。実感がこもっていて考えさせられたよ」

 

秘書「確かに・・で、次にいきたいんですがこれから紹介するキャラはどちらかというと脇役ですね」

 

三剣「そうだな、ババっと語っていこう」

 

秘書「まずはアーニーの時に出てきたヘザーです。アーニーの母親代わりでありスラム街で娼婦を営んでいる女性です。一見のんびりしていて鈍くさい感じのする女性ではありますね」

 

三剣「当時はスラム街で娼婦を営む女性というのはごく当たり前に存在していたんだ。それに物語の最初の描写で娼婦をさして「安いジンの匂いがする」というのがあるが、売春しては小銭を稼いで強い酒を買ってアルコール依存症に陥るというのも当時の典型なんだよ。わざわざ「安いジン」という描写を入れたことはこの背景にも由来しているだろうな」

 

秘書「それを考えるとアルコールにも薬物にも依存せず、娼婦をして稼いだお金をきちんと生活費に充てたり、アーニーを育てたりしているところを見ると見かけほど弱い女性ではないようですね

 

三剣「うむ、その部分は非常に気に入った。過酷な状況をしたたかに生き延びている姿は好感が持てたよ」

 

秘書「続いてミリアです。アリシアの実母、アリシアの看病もして、とても優しいお母さんですね」

 

三剣「この人の母親の愛には泣けたよ。本筋には絡んでこないが脇役の中で一番存在感があった」

 

秘書「次はアーチボルトです。ウィルの親友でカメラマンをしています」

 

三剣「役からしてもう少しメインに絡んでくると思ったんだが描写は少なく、もう少し彫り込んでも良かったような気がする。結構扱いがぞんざいだし(^^;)。なんであんなに少なかったんだろう?」

 

秘書「基本的に切り裂きジャックとは違う線で進んでいきますから。必然的に彼の出番というのはなかったんでしょうか」

 

三剣「それでもカレンルートではカレンに惚れているというフラグがちゃんとあるのでこのルートではもっと深く彫り込んでも良かった

 

秘書「続いてはユンファです。男性からも女性からも支持されているキャラですね。なんというか、あのアーチボルトへの一途な想いには泣かされました!

 

三剣「ユンファは出番はほとんど無いけど一言一言が愛にあふれていてインパクトがすごく残る」

 

秘書「「アーチボルト様になら何をされても幸せです」って普通は言えないですよ!「あんたの幸せはそれでいいの?」とドンドン床を叩いてしまいました(TT)」

 

三剣「そ、そうか。お前が女キャラをべた褒めするなんて珍しいな」

 

秘書「私が男なら絶対嫁にしますよ!っていうかアーチボルトはプレイボーイを気取っているくせにユンファを見落とすなんて、実は大したこと無いですね」

 

三剣「わ、わかったからもうその辺で(^^;)」

 

秘書「うー、もっと喋りたいのに・・・つづいてはナイアル神父です。元プロテスタントの牧師で自分で宗教を立ち上げた人ですね」

 

三剣「元プロテスタントの牧師で「神父」というのはちゃんとストーリー上で解説されている。便宜上「神父」としているというのはちゃんと書いてあるからアラじゃないぞ」

 

秘書「補足となりますがプロテスタントが牧師、カトリックが神父なんですね」

 

三剣「脇役の中では一番思想がはっきりしていたというか、背景が納得できた。でもこのキャラもメインなんだが脇役なんだかよく分からなかった

 

秘書「語るのが難しいですよね。神父も彫り込めばメインに昇格できたと想うのですが」

 

三剣「このキャラも詳しく語るとネタバレになるので割愛だ」

 

秘書「了解です。続いては編集長。カレンの父親ですね

 

三剣「メインヒロインの一人の父親でありながら、影はこれでもかというほど薄かった。まぁこれについては最後に語る」

 

秘書「次はジェイムズです」

 

三剣「序盤でいわゆる「嫌な奴」キャラとして登場するのでもっと絡みがあると思ったけどほとんど絡んでこなかったな」

 

秘書「切り裂きジャックを追うというのはメインであってメインでないですから、その部分で敵対する彼を活用するのは難しかったのでしょう」

 

三剣「かもな」

 

秘書「最後の二人は一挙に紹介しましょう。ドクターモローヴァンヘルシングです」

 

三剣「なぜ二人まとめてかというとこれは往年の文学キャラをモデル、というか名前はそのままで登場している。ヘルシングはホームズに迫る推理力を持っていたり、人のために吸血鬼と戦ったりとなかなかの好人物らしい」

 

秘書「ドクターモローはH.G.ウェルズ原作のSF古典小説「ドクター・モローの島」から拝借していますね」

 

秘書「で、キャラを語ってみましたけど、全体から見てどうでしょう?」

 

三剣「最大の欠点は編集長を始めとした男性キャラ達に致命的に魅力がないことだ

 

秘書「男性キャラ・・・でもこういうゲームは男性キャラの影が薄いのが基本だと思いますけど」

 

三剣「影が薄いのと魅力がないのは同義ではない。アーチボルトもウィリアムズも編集長、そして主人公もね

 

秘書「何が原因だと思いますか?」

 

三剣「原因はただ一つ、各キャラクターとの繋がりがほとんど描写されない。ここでいう繋がりというのは主人公との繋がりではなく、主人公以外とのキャラとの絡みだ

 

秘書「具体的にお願いできますか?」

 

三剣「例えば編集長とメインヒロインの一人であるカレンとは親子だろ?」

 

秘書「そうですね」

 

三剣「こういうメインヒロインに父親が登場し、主人公とまで同居しているケースというのはまず珍しい

 

秘書「確かに、普通は父親どころか親の描写は省かれてしまうケースが通常ですね」

 

三剣「ということはまずそこがシナリオをいじる材料の一つとしてあるはずだろ?」

 

秘書「なるほど、確かに編集長とカレンとの描写や編集長と主人公の描写はほとんど無かったですし、母親は早くになくして、カレンは一人娘ですからね。しかもウィリアムに好意を持っている。父親としての思いというのが全くなかったです」

 

三剣「そうだ。そこら辺でいくらでも彫り込みようがあったはずだと思ったし、何よりカレンと編集長が親子というのが最後までピンとこなかったのが痛い

 

秘書「なるほど」

 

三剣「それに男性キャラの声優陣の演技もダメだな

 

秘書「演技というか複数の男性キャラの声が一緒でしたよね。しかも結構重要な役まで。コレはどうかと思うのですが」

 

三剣「ライターと原画家と女性声優で予算が尽きてしまったんだろう。男性キャラも重要であるがこういうゲームで女性声優陣の予算を削るわけにはいかないから必然的に男性声優にしわ寄せが来たんだろうね」

 

秘書「ではキャラの評価をお願いできますか?」

 

三剣「迷うな・・・魅力のあるキャラなのだが・・・Cという事にしておく。女性キャラは魅力的なのが多い。しかし繰り返しになるが男性キャラに魅力がないのが痛い。脇役ならともかく、十分にメインに絡めるキャラでもそうだったのがダメだ

 

秘書「では後半はシナリオのレビューからいきましょう」


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