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三剣「今回はマーメイドの季節のレビューにいこう」 秘書「マーメイドの季節はイヴゼロの開発を持ちかけたゲームビレッジが完全な自社ブランドとして発売されたゲームソフトです」 三剣「ゼロでイヴファンと縁が出来ていたので、発売前のユーザーの関心はそれなりにひいていたと思う。後にPS版に移植された作品だ」 <システム> 三剣「慣例ならキャラからなんだが今回はシステムから評価を始める」 秘書「例のヤツですか?」 三剣「うん、もしココを見ていてこの作品を買おうとしている人がいた場合、PS版を買うことをオススメする」 秘書「というのは初回生産で発売したPC版にはバグが含まれているからです」 三剣「バグというと少し動かない程度を想像すると思うが、この作品のバグは遙かにそれを凌駕する」 秘書「どれぐらいの量がありましたっけ?」 三剣「多すぎて覚えていないよ(^^;)えー、まずイベントがちゃんと発生しないのでストーリー的に意味が分からないし、テキスト表示と画面表示とが一致しなかったり、パラメータが一定以上上がらなかったり、これは俺にはなかったがハッピーエンドに到達しなかったり、あるキャラのシナリオで進めていても突然ほかのルートにワープさせられたりするのもあったそうだ」 秘書「すさまじいですね(^^;)」 三剣「確かこれの発売日が3月31日だったんだよ、おそらくこれに関係していると思う」 秘書「決算日ですね」 三剣「そ、発売しないと利益換算が出来なかったんだろう。故にディレクターがスケジュール管理を間違えたと思われる。だからあれだけ不完全なモノができあがったんだろうな」 秘書「それもバグなんですか?」 三剣「俺のひいきにしているHPで現役のプログラマの方がいて、その方がいっていたんだがバグと一口に言っても種類は多種多様なんだよ」 秘書「多種多様?」 三剣「まず、バグといってもく、シナリオライターがフラグ処理を間違えて、イベントの発生が出来なくなる場合もあったり、扱っているデータに問題があって、プログラムは問題ないに結果不具合が生じてしまったりと色々あるんだそうだ」 秘書「へぇ〜、シナリオライターが原因だったりするケースもあるんですか。では今回はどれだと思います?」 三剣「わからん」 秘書「・・・・」 三剣「複雑に入り組んでいて俺には解読不能だ(^^;)」 三剣「もちろんそのバグに対してはすぐ修正パッチが公開された。そしたらその修正パッチにバグが含まれていて初回版ではなかった強制終了してしまうという不具合が新たに発生したんだ」 秘書「とりあえず公式発表だと、最終的な修正箇所は26カ所、どれもがゲームの根幹に関わる重要な部分ばかり、その公開時期も発売から一ヶ月を過ぎています」 三剣「故にゲームプレイを放棄した人が多かったのではと思う。しかもそれを煽るようにパッチにはセーブデータの互換性が全くない。だからもう一度初めからやり直さなければならないんだ」 三剣「さらに一日の行動回数が二回から三回にパッチを当てることによって増加することとなった。発売後にシステムを変えるなんて初めて聞いたよ、でもプレイした感じは三回はちと多いように感じた」 秘書「とにかく対応が後手に回っていますね、何がいけなかったんでしょう?」 三剣「ゲームビレッジ自体に開発のノウハウがなかったのも原因かと思われる。ゼロの時は、開発はシーズがしたみたいだからな。ゼロはフリーズするという不具合があったがあれはプログラムによって扱われるデータが大きかったからだと思われる」 三剣「そして最終的には購入者の住所が分かっているユーザーを対象に、修復したディスクを無料送付することとなった」 秘書「ボスには届いたんですか?」 三剣「ああ、通販で買ったからね。そのとき俺は初回限定版を買ったんだが、その値段がなんと12800円、ものすごい高価だったんだよな」 秘書「一万二千!・・・ということは発売後の公式BBSの反応は・・」 三剣「ものすごい量の書き込みだったぞ。中傷も相次いだが終いには「とにかくココでバグを報告し合って、ゲームビレッジに治してもらいましょう」というマジな書き込みもあった」 秘書「はぁー、でそのディスクでプレイしたんですか?」 三剣「ちょっとだけな、そのあまりの変貌ぶりに別ゲームをしている気分だった。でもそこでプレイ意欲を失ってしまった」 秘書「全体的にはどうです?」 三剣「背景事情を考慮してもゲームビレッジは大失態を犯してしまったと思う。ユーザーの信用を完全に失ってしまった。それがゲームの作品としての価値ではなく、その外部としてが原因だったのはすごく残念だった」 秘書「ちなみにゲームビレッジはその後もゲームをリリースしていますが、それもバグだらけで掲示板は荒れていました」 三剣「と、こういう事情があった。ゲーム自体のシステムはそこまで不備は感じなかったが」 秘書「えー、というわけで評価をいただけますか?」 三剣「今回はゲーム作品としてのシステムの評価ではなく、作品そのものについて語ってみた。今回は項目を変えてシステムをバグとする。よってEだ」 秘書「E・・・厳しいですね」 三剣「加点要素が見あたらないからね」 <シナリオ> 三剣「シナリオは山田桜丸氏が担当している」 秘書「山田桜丸・・・・確かロストワンの?」 三剣「その通り、山田氏の初の完全オリジナルシナリオだ」 秘書「大学在籍中に『小学館デニムライター新人賞』を受賞し、デビューした実力派女流シナリオライターの方なんですよね」 三剣「ああ、だから実力はある人なんだ。そしてその人がロストワンのシナリオを手がけた」 秘書「残念ながら酷評されてしまいましたが」 三剣「だがそれはイヴという枷があったからだと解釈することも出来る。故に今回の作品の期待というのはあった」 秘書「実際プレイしてどうでした?」 三剣「残念だがやはりシナリオライターとしての才能はないようだ」 秘書「・・・・」 三剣「小説を書くこととゲームシナリオを書くことが違う。考えてみれば当たり前のことなのかもしれないがそれを改めて理解できたような気がする」 秘書「どのように違うのですか?」 三剣「・・・俺は一度フリーゲームシナリオを書いたことがある」 秘書「ああ、途中で計画が頓挫してお蔵入りになったヤツですか」 三剣「うむ、そこで分かったことがあるんだが、ゲームシナリオを小説で書く感覚で書くと中間描写が凄くおざなりになる」 秘書「中間描写?」 三剣「分かり易く例文をあげよう「俺の視界には澄み切った綺麗な青空が広がっていた。「・・・ふぅ」と思わず溜息が出てしまった」という文章があった場合」 秘書「ふむふむ」 三剣「山田氏は・・・多分ゲームシナリオでこの部分を書かなかったと推測できる」 秘書「?」 三剣「つまりシナリオでは「・・・ふぅ」という台詞しか「書けなかった」んだろうな」 秘書「つまり、「綺麗な青空が広がっていた」という部分を台詞が主体となるシナリオに組み込めなかったと」 三剣「多分な、ちなみにそれをすると台詞のボリュームが皆無になるんだ。ロストワンの時に感じた違和感の正体がこのとき分かったような気がする」 秘書「なるほどー」 三剣「といっても、まだあるんだがけどね(^^;)」 秘書「まだ?なんです?」 三剣「とにかく設定を活かし切れていない。はっきり言うが今回のコンセプトなどはシナリオライターが良ければ名作に化けるかもしれないぐらい良い物を持っていたんだ」 秘書「具体的にお願いできますか?」 三剣「まず世界観、基本的に区画整理されていて非常にスッキリとした印象を受ける。だがその世界観の印象が全くない、おそらく大都市圏郊外のニュータウンと俺は思っていたんだが、それにしては妙なところが多い、いくら何でも午後8時の時点で終電が終わるというのはいかがなモノかと思った」 三剣「それとヒロイン毎のシナリオ自体が地図上に表示されたところを行くだけ。しかもそのイベントがぶつ切りでつながりがほとんど無い、故に一回一回テンポが崩れる。これは山田氏もそうだがディレクターの責任でもあるだろう」 秘書「マーメイドというキーワードについては?」 三剣「マーメイドとはある企業が開発した人型アンドロイド『マーメイド』。これは死んだ人間の姿、性格、記憶をそのまま受け継ぐというもの」 三剣「で、この作品はその製作過程にスポットが当てられている。コレを製作した企業もすぐそばにあるしな。それについての関係や戦いなども十分に描写できる価値は十分にあった。無邪気なヒューマニズム賞賛に走りがちの人外の存在について一石を投じることは十分に出来たはずだ」 三剣「その素材としてかつて自分がマーメイドであるということを知らないまま、人間として生活するマーメイドがたくさんいたり。その後、このマーメイドは社会問題となり生産は中止されたりと、魅力的なモノが揃っていた」 三剣「そして物語の軸となる回収されず社会にとけ込んだ少数のマーメイド。この夏のメンテナンス時期に、活動できなくなるんだ。そして動けなくなることも知らずに過ごしているマーメイドが、もし身近な人だったとしたらということになる」 三剣「この素材で唯一活かしていた部分は「マーメイドが身近な人だったら?」という描写だけ。これはもったいない」 秘書「補足となりますが、マーメイドは後に紹介するメインヒロインのウチの一人だけです。そこの均整はとったようです」 三剣「何故一人だけにしたかは分からないけどな。終盤マーメイドと発覚してからの展開は切ないモノがあったが」 三剣「では続けよう。ゲーム中に調査という過程があるが、これがヒロインイベントと全く同じ方式で行われる。故にぶつ切りの印象を拭うことが出来ず、伏線の張り方も極端に下手で、緊張感が全くない。謎が解けるときも相手が答えてはいけない質問に答えたり、向こうから勝手にベラベラ喋ったり」 三剣「それに、毎日ヒロインが作っているサイトを見ることが出来る。ネット接続があるならそれをもっと活かしてほしかった。ただ単にサイトが更新されるだけでは最終的には見なくなってしまう。とうか俺も見なかった」 三剣「ヒロインとの恋愛過程も今ひとつインパクトに欠け、唯一及第点をあげても良かったのが夏菜のシナリオだけ。とにかく全て駄目だ」 三剣「これはロストの時から感じていたことだ。シナリオがぬるいんだ一言でいえば」 秘書「ぬるい・・・やはり小説は逆に如何に読みやすくするかが一つの能力として必要されますが、それがシナリオで悪いほうに出てしまったと」 三剣「お前のいっていることが当たっていると思う」 三剣「とにかく惜しい!名作に化けることが出来、それだけの素材は揃っていた。ストーリーのコンセプトも興味をそそるモノだった。それなのに・・・悔しいよ俺は。素材を生かしきれていないことがこれほどまでに作品としての評価を損なわれるとは思わなかった」 秘書「それではシナリオの評価は?」 三剣「D、これぐらいだと思う」 <キャラ> 秘書「つづいてはキャラです」 三剣「今回のキャラデザインは成瀬ちさと氏が書いている。癒し系イラストレーターといてファンからは支持されている」 秘書「生年月日は1978年、当時は現役の女子大生でプロとしてデビューしています」 三剣「イラスト自体は非常に好感が持てる」 秘書「あのほのぼのとした感じがいいですよね(^^)」 三剣「ああ、というわけでキャラのレビューにいくぞ」 秘書「まずは主人公高幡雅人です。八色学園に通う高校生です」 三剣「特にこれといった特徴はないよな。平凡というか・・・」 秘書「ですね、まぁギャルゲーで変にキャラ付けすると感情移入という部分で損なう危険性がありますからね」 三剣「うむ、可もなく不可もなくといったところだ」 秘書「それではヒロインの紹介にいきましょう。まずはメインヒロインの大沢夏菜です。幼なじみポジションをがっちりキープしていて、もちろん窓を開けるとすぐ向こうが彼女の部屋です。そして着替えている時のシーンももちろんデフォルトで入っています」 三剣「デフォルトかい(^^;)ちなみにもちろん家事全般は大丈夫だし、雅人のために料理まで作ってくれるという王道のオラオラコンボだ」 秘書「やれやれだぜ」 三剣「ノリがいいな(笑)、だが夏菜は一ヶ月前に事故で両親を亡くし、一人暮らしをはじめたばかりなんだ」 秘書「心配する主人公を安心させたくて明るく振る舞っていますね。この部分は健気です」 三剣「このキャラがこの作品の中で一番完成していると思う。変に男に媚びないところも含めて、コレは女性作家と女性イラストレーターの折衷が上手く取れていたと思う」 秘書「確かにイヤミがないですね。ギャルゲーでのこういうタイプは結構同性からはあまり好かれないタイプですが、それが出ていません。ごく自然に仕上がっていると思います」 三剣「だが両親を事故でなくしているという部分の描写が足りなかった。これもシナリオに端を発していると思うけど」 秘書「しかし彼女から発する雰囲気というか・・そういうモノは良かったと思います」 三剣「うん、彼女の雰囲気は今までにないモノだったと思う。この部分が唯一のプラスポイントだ」 秘書「続いては片倉優月です。地元ケーブルテレビで毎日天気予報を伝えている、いわゆるお天気お姉さんですね。ロングヘアーが似合うナイスバディの才色兼備です」 三剣「主人公がアルバイトする喫茶店の常連らしい。性格はビジュアル通りきつめ、とはいっても内面は弱く、強がっているだけというこれもまた王道のオラオラコンボだ」 秘書「完成度としてはどうでした?」 三剣「う〜ん、特に印象が残らないんだよな。そういう描写もあったような無かったような。それにこのキャラには彼氏がいるがその彼氏がマーメイドで鍵を握る人物だったりするのでそこら辺の絡みも十分に出来たと思うがな」 秘書「続いては武蔵野ひなたです。華奢なスタイルでありながら、機敏で運動神経抜群の一年先輩の女子高生です」 三剣「ボーイッシュなショートヘアと男っぽい口調は、彼女が「女の子だから」「女の子らしく」っていわれるのが大嫌いで意識したものらしい」 秘書「父と兄が警察官で、自分も婦人警官を目指していたみたいなんですが、両親からは反対されているんだそうです」 三剣「婦人警官、男と比べ婦人警官は採用募集人数は極端に少ないモノとなっている。故に倍率も高く難関試験だ」 秘書「男性警察官のが楽だということですか?」 三剣「なら苦労はないんだけどね、というか勉強に関しての要領の良さと判断力が兼ね備えていれば比較的楽に受かる試験だと思うよ。勉強に関して要領が悪いヤツは試験勉強は広い範囲を幅広くやらなければならないので、そこの加減具合がひじょーーーーーーーに苦労するとだけいっておく」 秘書「実感がこもっていますね(^^;)」 三剣「込めたたんだよ、公共機関がやることだから必然的に、学術での成績がいいヤツに有利に出来ている。といってもそれは非難しないけどね」 秘書「彼女についてはどうでした?」 三剣「うーん、何とも言えない。感想といわれても結構難しい。このキャラも掘り下げが足らないからなぁ」 秘書「では最後に若葉琴野です。八色学園の同級生で、学園長の娘。なんと親同士の決めた許嫁がいるらしいです」 三剣「政略結婚とは時代錯誤も良いところだが、その時代錯誤な政略結婚の背景事情を考慮すれば現実味を持たせられたはずなんだけどね、その政略結婚の相手がゲーム中でちゃんと登場するし」 秘書「はい、ボンボンで嫌な奴という王道パターンですがですが、彼女に対しては結構純情です」 三剣「それ以外は影が薄いという印象しかない。彼女はおとなしい人物なんだがそこら辺をもう少し出しても良かったと思う。おとなしいからといってシナリオが淡泊ではダメなんだ、それを活かしてボリューム有るモノへと仕上げてほしかった」 秘書「以上で主要キャラ紹介を終わりましたが、全体的に見てどうでした?」 三剣「それぞれがそれぞれに魅力を持っていた、これは間違いない。だがシナリオがぶつ切りのせいで感情移入がしづらかったし、彫り込みも足らなかった」 三剣「というわけでキャラクターはDとしておく」 <まとめ> 秘書「マーメイドの季節のレビューのまとめです」 三剣「外部やら内部やらで色々問題点を抱えていたゲームだった。一言でいうとこんな感じだ」 三剣「素材は間違いなく揃っていた。しかしそれが台無しになっていた。そういう意味で名作というのは素材を生み出すこと、それを作ること、それを発売すること。商業と芸術という相反する事象のように見えるが密接にリンクしていて、それが全部あわさって初めて出るモノなんだと。改めて思った」 秘書「全体的な評価はどうですか?」 三剣「ランクはDということにしておく。このあたりが妥当だと思う」
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