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カルタグラ 〜ツキ狂イノ病〜 前編



三剣「今回はカルタグラ〜月狂いの病〜のレビューにいこう」

 

秘書「カルタグラはInnocent Greyが発表したアドベンチャーゲームです。KIDにより移植されPS2で発売されています」

 

秘書「結構特徴的なタイトルですけど、コレって何か意味あるんですか?」

 

三剣「イギリスの学者であり政治家でもあったレギナルド・スコットが「煉獄」の代わりに使用した言葉、「魂の苦悩」という意味だ。といっても英語ではなくこの学者の造語みたいだがな

 

秘書「えーっと、魔女や悪魔の存在を否定した人で、そういったものは人の虚言や妄想によった幻想であり、受け手側の集団的偏執や精神混乱である。でしたか?」

 

三剣「詳しいな、「呪いというのは呪われた者がそれと自覚して初めて効力を発揮する者である」以前ジャンプに連載されていたアウターゾーンという漫画で書かれていて興味深いと思ったよ。それと絡めて本編をプレイするとそれはそれで興味深いと思うぞ」

 

秘書「ん?ちょっと待ってください。確かPS2のサブタイトルが「魂の苦悩」でしたよね、ということは「魂の苦悩〜魂の苦悩〜」って事ですよね」

 

三剣「そういうことだな(^^;)タイトルはそのままでも良かったような気がするが」

 

秘書「確かに、そういえばこのゲームを購入したきっかけって何ですか?」

 

三剣「シナリオの評判が良くて購入したんだ。しかも結構シリアス路線みたいだし。歯ごたえがありそうだなと思ってね」

 

秘書「でどうでした?」

 

三剣「うーん、まぁそれについては後でそれぞれに語っていこう」

 

 

<キャラ>

 

 

秘書「ではキャラレビューに行きましょう。はじめに紹介するのは物語の主人公である高城秋五です。元警察官で今は遊郭に居候している。今は探偵として活躍していて微々たる収入は有るみたいですけど要はヒモですね

 

三剣「ヒモか(^^;)まぁ典型的な甲斐性なしの主人公だからなぁ」

 

秘書「ボスは男としてヒモってどう思います?」

 

三剣「んー、状況による」

 

秘書「例えば?」

 

三剣「端的に言えば「向上心」を持っているか否かだな。向上心を持っていて、でも今の状況では女性に頼るしかない。そのような状況ならいいんじゃないか」

 

秘書「向上心・・・・というのなら彼については」

 

三剣「(^^;)

 

三剣「で、お前はどうなんだ?だらしない男に惹かれる女は多いと聞くが」

 

秘書「うーん、正直秋五はパスいちって事で

 

三剣「はは、でも否定はしないんだな」

 

秘書「まぁ気持ちは分からないでもないですから。ただ、だらしない男の観点って男が考えるのと女が考えるのでは違うと思いますけどね。母性本能をくすぐられるというか」

 

三剣「その因果は興味深いね」

 

秘書「男も父性本能をくすぐる女に弱いですからね」

 

三剣「その錯誤も興味深いがそれはひとまずおいといてと、秋五なんだが・・・」

 

秘書「ここまで無能な主人公って珍しいですよね

 

三剣「推理力ない、判断力もない、戦闘力もない、度胸もない。主人公が推理を続けられるのは冬史や妹の七七を初めとした周りの女達のお陰というからとことんヒモ気質だな

 

秘書「しかもあっちの女にフラフラ、こっちの女にフラフラ、そのせいで被害者が増えていくのだから意味不明です。正直秋五が果たした役割ってなんです?」

 

三剣「しかも推理役は七七が助けてくれるし、肉体的に危なくなったら冬史のが助けてくれる。そこまでフォローしてくれても秋五のお陰で一向に物語が進まず。自分から動こうとするシーンもあることはあるけど、いずれも無計画で稚拙だ

 

秘書「しかしどうしてそうなってしまったんでしょう?キャラを作る上でそれがマイナス要素になると制作者側が気づいていないとは考えられませんが。公式HPでは「有能」って書いてありましたし

 

三剣「おそらくは「何の特徴もない男」を体現しようとしすぎた結果だろうね。んで結局周りにただ振り回されるだけ、肝心要なときに何も出来ない「無能」という結果が出てしまっている。これは18禁ゲーム主人公に多く見られる共通した欠点だ

 

三剣「眉目秀麗で女にモテて仕事も出来るというのは描き方によっては感情移入が非常にしづらくなってしまう。実際はこのうち一つでも持っている輩は希だしね。この手のゲームは男性需要を見込んでいるため、そこら辺を考慮してしまったんだなと思った」

 

秘書「秋五を魅力的にするならその方法って何かありますか?」

 

三剣「秋五をもっと社会不適合者の様な感じにするべきだろうね

 

秘書「社会不適合者?」

 

三剣「秋五は中途半端に悪人じゃないからこういう事になったのだと思う。この作品はヒモという社会的から見て余り好ましくない状態になっている。んで普段は生きるということに対して淡泊なのだが推理力を初めとした各種能力は非常に有能というようにすれば、憎めない感じの主人公に仕上がると思うぞ

 

秘書「なるほど。続いては本作のメインヒロインの上月和菜です。舞台女優を目指していて奮闘している彼女。失踪した双子の姉の目撃情報を耳にし、両親の反対を押し切って姉の捜索を秋伍に依頼します」

 

三剣「性格は「明るく前向きでちょっとドジっ娘、一生懸命で健気」という非常にオーソドックスなキャラ付けとなっているが・・・・和菜の場合はそれが全面的に押し出され過ぎているのが気になる

 

秘書「少々それがうざったい感じはありますね。話の腰を折ったり、引っ張ったりするのでテンポが悪くなってしまいますし。実際にいたらちょっと敬遠してしまうかも

 

三剣「とはいっても物語の中核を握るから最後までつきあわなければならないが正直ちょっと辟易した。もう少しライトに表現してくれれば違っていたんだが」

 

秘書「彼女の長所は何かあります?」

 

三剣「んー、基本的にこの作品は登場人物のほとんどがシリアス路線だから、この子のお陰で明るくなった・・・・・・・と思いたい(^^;)。お前はどう思う?」

 

秘書「ふーむ。彼女の場合は落ち着きが無く子供っぽい感じで描かれていますけど、舞台に上れば別人となるというのはオーソドックスではあります。本来ならそのギャップが魅力を引き立たせる要素となるのですが、肝心要のその「ギャップ」に関しての描写がほとんど無いため、今ひとつ有能な感じがしなかった・・・そんな感じですか」

 

三剣「そんなところだろうな」

 

秘書「続いては主人公の秋伍の妹、高城七七にいきましょう。上野にあるお嬢様学校、私立華陽学園に通っていて判断力、推理力、実行力。その全てを兄である秋伍を遙かに上回る実力を持っている女の子ですね

 

三剣「妹となるとこの手のゲームにはお約束であるブラコンなのだが、彼女の場合はかなり突き抜けたキャラだな」

 

秘書「この子の原動力は「好奇心」に由来されています。しかも善悪を問わず、今回の捜査もただ単純に好奇心により首をつっこんでいきます」

 

三剣「そしてその行動力は「論理」だ。それに命をかけて、つねに状況に置いてこの思考を忘れないのだな」

 

秘書「推理も秋伍より七七が大活躍しますからね(^^;)。秋伍が女とシケこんでいる間に着々と捜査を進めているのですから、この人がいなかったら物語自体が駄目だったでしょうね(^^;)

 

三剣「好き嫌いは別れるだろう。だが俺はこの部分でキャラ造形に関しては唯一高い評価をあげたいキャラだ

 

秘書「どういうところがですか?」

 

三剣「基本的にカルタグラのキャラクターって妙に「ユーザーの高感度」に対して悪い意味で意識している部分がというのがあるように思う。分かり易くいえば「媚びている」感じがするということだ」

 

秘書「媚びているというのは「嫌われたくない」という弱気な姿勢からきますから。つまり「ユーザの好感度を気にしない自分の作りたいキャラ」という造形ということですね」

 

三剣「その通り。でもここで誤解しないでもらいたいのはユーザーの好感度を無視するのが善ということではない。むしろ重要視するべきだと思う。作りたいキャラ、作りたい物語とユーザーの需要というのが一致する方が希だからね」

 

秘書「実際ネットでは彼女の好感度は低いですからね」

 

三剣「多少やりすぎたからな、おいおいって思った部分あったし」

 

秘書「続いては蒼木冬史です。死の腕と呼ばれる闇組織の女性幹部。隻腕でありながらその戦闘力はピカイチです」

 

秘書「秋伍が警察官時代からの付き合いなのですが、妙に気が合い、警察官を辞めても交流が深いそうです」

 

三剣「んーキャラ造形に関してはそれなりに高いレベルにはある。実際「いい女」だとは思ったし」

 

秘書「魅力の出し方があざとい部分はあったかも知れないですね

 

三剣「そうなんだ。蒼木冬史は外見は周りを畏怖させる雰囲気を持っていて、中身も非常に漢前だが、実際は料理も上手で、意外な所で「かわいい部分」も持っているという設定で、確かに魅力のあるキャラなんだけど、その部分が唐突になっているから非常に「付け足し」の部分がぬぐえない

 

三剣「冬史に関してはもう一つ語りたい所があるので、それはシナリオの部分で述べる」

 

秘書「了解です。ここからはささっと簡単に紹介していきましょう。最初は雨雀です。元遊女で現在は経営者です。同時に情報屋としても活躍していますね」

 

三剣「情報屋という部分は余り無かったけどな。でも過酷な状況を生き抜いている遊女達に親身になって接してくれている。そういう部分において彼女の存在は大きいじゃないかな。そういう意味で好感度の高いキャラだ」

 

秘書「しかし元遊女で経営者ですか」

 

三剣「経営者というより楼主と呼んだ方がいいかな。ちなみに遊郭には店の主人である楼主の他に監督役の遣手(やりて)。芸者。男の使用人である妓夫(ぎふ)、若い者は喜助(きすけ)とも呼ばれているのだ」

 

秘書「芸者?」

 

三剣「芸者も遊郭にいるぞ、遊女を混同してはいかんぞ。芸者は春は売らないからね」

 

秘書「続いてはです。遊女の一人、ノリがよく秋伍の友人ですね」

 

三剣「このキャラは雨雀とはまた別の意味でのオアシス的存在だ。屈託のない性格は見ていて人を和ませると思う。少々媚びすぎの面があるが・・まぁそこはあえて考えないことにしておこう」

 

秘書「続いては初音です。住み込みで雪白に働いている女の子です。まだ幼いため客は取っていません」

 

三剣「メインの筋に絡んでくるのかと思ったが、意外と脇役だったなと。それ以外は特に印象に残らなかった」

 

秘書「続いては綾崎楼子です。名門のお嬢様。幼い頃警察官時代の秋伍に会い、その時に惚れて、今でもその感情は続いているみたいです。ってヒロインのほとんどが秋五に惚れていますね。こんな駄目男の何処にそんな魅力があったのか分かりませんが

 

三剣「(^^;)、このキャラも秋五の縁があるのにこれもまた描写されなかったなぁ、この作品ってそういうキャラの構造に踏み込んでないよな。設定に関しては描写はちゃんとしているのに」

 

秘書「次に祠草時子です。連続殺人事件の容疑者として一度拘留されます」

 

三剣「このキャラは申し訳ないが特に何もなかった。気持ちの描写が全然無くて・・」

 

秘書「続いて乙羽です。ベテラン娼婦、結構きつい性格ですね。イライラすると初音とかに当たり散らしているみたいです」

 

三剣「このキャラも特に印象に残らず。なんでカルタグラはテンポを良くしたい意図は伝わるのにそれを担ってくれるキャラを削除するんだろうか

 

秘書「つづいては有島一磨です。秋伍の元上司の警部。秋伍が警察官を辞めた現在でも仕事を依頼したり交流は続いているみたいですね」

 

三剣「脇役の中で一番完成されたキャラだと俺は思う。キャラの起承転結が一番ハッキリできていたし、ただやっぱり影が薄いなと」

 

秘書「続いては深水薫です。華陽学園のシスターを勤めています」

 

三剣「このキャラに関しても掘り下げという部分は皆無だ。華陽学園でありシスターであるという魅力的な設定があるのにどうしてそこに踏み込んでもっと描写しなかったのかが不思議だ」

 

秘書「続いて赤尾生馬です。美術監督であり自分のアトリエを構える芸術家ですね」

 

三剣「このキャラも今ひとつ。それなりに印象深い話はあるのに切迫した感じが無くて、おいしい素材を活かさないのはライターの責任だと思う

 

秘書「なんか否定的な感想ばかりですね(^^;)最後に紹介するのは八木沼了一です。本庁の腕利き刑事。作中では嫌なキャラとして登場します」

 

三剣「利己的で冷酷というのは公式HPの弁なのだがコレはちゃんとその通りに描写されていた。出番は少なかったけど「この野郎」と思わせてくれたことには評価したい

 

秘書「というわけでキャラをレビューしてきましたが全体から見てどうです?」

 

三剣「うーん、結論から先に言わせてもらえばキャラ造形がわざとらしすぎる

 

秘書「ふーむ、基本的にオーソドックスなキャラクター達が多いですね。しかしキャラ分けは比較的良くできているかと思いますが」

 

三剣「俺は逆にそのキャラ分けが結果的にネックになってしまったと思っている

 

秘書「キャラ分けがネック?」

 

三剣「おそらくはキャラ分けを明確化しようとしすぎて、シナリオライターのその意志が作中に介在していたためだと思われる

 

秘書「どういう意味です?」

 

三剣「何回か言っているがキャラのキーワード、つまりは設定だ。現実問題でも他人同士で似ている場合もあるし、当然ゲームの中で重複している場合も往々にしてある。重複した場合のかき分けは難易度が非常に高いが、それ故に描ききれなかったと感じた」

 

三剣「つまりはキャラ分けを明確化しようとしすぎて起きてしまったことだろう。とはいっても実際問題キャラ指定をするにあたりどのように指定が来たのかは分からないけどね」

 

秘書「ライター一人だけの責任ではないと?」

 

三剣「うーん、とはいっても物語の構成が結構ライター個人の色が出ているように感じるのでやはりそこはもう少し腕を磨いてもらいたいなと思った

 

秘書「キャラ構成に関しては?」

 

三剣「魅力的なキャラがありながらもその描写が突き詰めてない。脇役というのは確かにある程度描写を省いてしまうのはしょうがないのだが、メインクラスにまでそれが発展しているというのはいかがなモノかと思う

 

三剣「それに七七エンドはそれを追い求める余り一線を越えて破綻してしまったのが残念だがな。七七のキャラ造形も良かったんだけどそこがな」

 

秘書「要はさじ加減が下手だと

 

三剣「そういうこと。設定を如何に活かすか。次回作の課題はそこにあると思う」

 

秘書「それではキャラの評価をお願いします」

 

三剣「評価はB、結構辛辣に語ってしまったが楽しめる作りにはなっていると思う」

秘書「では、後半からはシナリオのレビューに行きましょう」



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