声 明

 最高裁判所第二小法廷は、本日、横浜事件第三次再審請求にかかる治安維持法違反被告事件について、上告棄却の判決を言い渡した。その結果、誤判の判決が確定した後に刑の廃止などの免訴の判決をすべき事由が生じている場合には、再審の裁判であっても免訴の判決をするのみであるとした平成18年2月9日横浜地裁判決が確定することとなる。

 誤判からの救済を任務とする再審の裁判において、確定判決後に、行政や国会の議決によって刑の廃止などの措置が講じられたことを理由に誤判か否かの実体審理を行わないことは、司法による再審の拒絶以外の何ものでもない。

 横浜事件は、昭和17年から19年にかけて、治安維持法違反の名のもとに特高警察と検察が一体となって言論を弾圧し、激しい拷問の中で獄死者4名、さらに瀕死で仮出所してその後死亡する者まで出したという大弾圧事件であり、そのうちの多くが敗戦直後の昭和20年8月から9月にかけて起訴され、横浜地裁は、検察官の言うがままに被告人の弁解を聞かずに、いずれも拷問によって作成された自白調書を唯一の証拠として、次々と有罪判決を下した。ここには、検察官と一体となって、執行猶予付有罪判決によって事件の係属を終了させようとした裁判所の姿勢が明らかであって、司法の健全な機能は全く働いていない。

 本上告審において最高裁判所に期待されたことは、戦時下にあっても司法が健全に機能すべきことを明らかにすると共に、検察と一体となって言論弾圧に荷担した当時のわが国司法の誤りを匡すことであったにもかかわらず、事実に正面から向き合うことをせず、目を背けたのである。

 本件について最初に再審の扉を開いた平成15年4月15日横浜地裁判決が、治安維持法の悪法性を正面からとらえて、ポツダム宣言受諾によって治安維持法が無効となったことを明確にしたこと、本件の再審開始を確定させることになった平成17年3月10日東京高裁即時抗告審決定が、本件が拷問による自白を唯一の証拠として有罪とされたものであって、無罪であることが明らかである旨を判示したことと対比するとき、刑事訴訟法の法技術的な論理に終始した本日の最高裁判決の不当性は余りにも明らかと言わねばならない。

 請求人ならびに弁護団は、日本の司法が、今後の同種事件において、本日の判決を改めるよう強く求める。

以上

2008年3月14日

横浜事件第三次再審請求請求人

横浜事件第三次再審請求弁護団


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