横浜事件・第3次再審請求

東京高裁の即時抗告棄却決定に対する声明

 本年3月10日東京高裁第3刑事部は、かねてより検察官から提出されていた横浜地裁の再審開始決定(2003年4月15日付)に対する即時抗告を、棄却する決定を下した。

 この決定の中で東京高裁は、横浜地裁の原決定が理由としていた、ポツダム宜言の受諾にともない治安維持法1条・10条は実質的に失効したなどとする見解には疑問があり、にわかに是認することができないとした上で、原決定が判断を留保した再審理由3

―すなわち、確定判決が根拠とする元被告人木村亨らの自白は拷問の結果得られたもので、信用性を欠くから、同氏らは無罪とされるべきではないかという問題提起―
等について、進んで審査・判断を加え、その結果、同氏らに対しては当時の捜査官憲(神奈川県警特高課の司法警察官ら)から、治安維持法違反の行為の「自白」を得るために言語に絶する激しい拷問が繰り返されたこと、また、それによって、同氏らが
「国体変革等を目的とした結社であるコミンテルンや日本共産党の目的遂行のためにする行為を行った」
とする虚偽の自白調書が作成され有罪判決の決定的な証拠とされたこと等の事実が認められるとし、それゆえ、同氏らには旧刑訴法485条6号の事由があるので、再審が開始されて然るべきでありこれと結論を同じくする原決定は正当だと判断した。

 今般の決定は、原決定が憲法学者の鑑定を経るなどして慎重に審理・判断した、ポツダム宣言受諾による治安維持法の失効の判定には疑問があるとした点には批判の余地を残したものの、1986年の第1次再審請求以来本件に関わったいずれの裁判所も踏み込めなかった、上記再審事由の審査について真正面から積極的に取り組み、特高官憲の非道な拷問による自自強要の事実とそれによる「事件」の虚構性を認定し、元被告人らが求めてやまなかった再審手続の開始と「横浜事件」の真相究明に途を開いた点において、画期的な司法の快挙と評価することができる。

 われわれは、わが国戦後司法の健在を証した今般の決定を諸手を挙げて歓迎し、担当裁判官らの見職と勇気に敬意を表するとともに、今後の再審公判に全力を挙げて取組むことによって、元被告人木村氏ら全員の無罪判決を獲ち取り、併せて戦前日本のファシズム体制の暗部に解明のメスを加えることを誓うものである。

 2005年3月10日

横浜事件第三次再審請求弁護団

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