「フィスト オブ フューリー/〜復活!ドラゴン怒りの鉄拳〜」
ブルース・リー主演「怒りの鉄拳」(名作!)を筆頭とする精武門モノ映画の最新型が今作です。しかもブルース婦人公認のブルース・リー生誕60周年記念映画です。心にドラゴンが入っている人間なら期待しますわな。普通。 しかし映画館でこの看板とチラシを見た瞬間、俺の胸の中に一抹の不安が生じたのはいうまでもない。

「ブルース・リー?」「考えるな!感じろ!」、煽るコピーが不安を加速させます。本当にこのチラシの内容しかない映画。意味なく炎。バ○映画の王道を突き進むパンフのつくりに感動!
気を取り直して観賞。カンフーな男女がシルエットだけで写し出されるオープニングは百歩譲れば007ばりのカッコよさ。その直後に日本刀を構えた武道家軍団に取り囲まれた主人公がジークンドー特有の細かいステップを駆使して一人二人と武道家を倒していくアクションが映し出されます。「最初からクライマックスかよ!」怒涛のような展開に焦る館内のドラゴン予備軍たち。「エンディングまでこのテンションでは体がもたないぜ!」「新世代のジェットコースター・カンフー・ムービーの誕生か?」館内に響き渡るドラゴン予備軍たちの心の叫び・・・・・・・全て無用の心配でした。ま、むりやり体内のエンドルフィンを過剰に分泌させて盛り上げていた面もあるのですけど。このあと、まったりした展開でしっかりとチルアウトさせてくれます。冷静さを取り戻した頭で主人公の造形を見てみるとブルース・リーに全然似てなくて驚かされます。普通のおっさんですよ、マジで。これだけ似てないおっさんがブルース・リーのモノマネを続ける奇怪な映像を体験出来るなんて!(絶句)
ストーリーは「怒りの鉄拳」で倒した鈴木太郎の弟、次郎の復讐劇。日本人だけでなく悪のイギリス人(考古学者のインディ博士!)まで登場して中国の財宝の争奪戦をからめながらストーリーは強引に展開していく。なのだがはっきりいって途中からどうでもよくなってしまうから不思議。
主人公が繰り出すカンフー・アクションは確かに凄い。凄いのだが何回も同じアクションを繰り返し見せられると最も大切なアクションのテンポは当然失われていきます。にもかかわらずこの映画妙にスローモーションによる繰り返しが多いです。蹴りをいれては、スローでもういちど。突きをいれてはスローでさあもう一度。壺を割ってはスロー!皿を割ってはスロー!スロー!スロー!スロー!主人公の顔がブルースにまったく似てないのがスローでしっかりと確認できます。それと全編通して日本語は変です(お約束)。
妙な演出はヒロインが殺される悲劇的なシーンにも使われています。町の人が二手に分かれて水をかけ合う妙な祭りのカットとヒロインが殴られて口から血を噴き出すカットが交互に挿入されるのですが(もちろんスローモーションで!)、カッコ悪く意味不明で笑えない独創的なシーンに仕上がっています。続くすでに死んでいるヒロインのもとに主人公が駆けつけるシーンでは唐突に豪雨になっているのは笑えましたが。言い忘れたけど、ここもスローモーションです。
細かく紹介(突っ込み)をしているとキリがなくなりそうなほど、イロイロと妙なところが多い映画です。笑えず、爽快さもなく、淡々としているようでかなり濃い、独特な味わいといったところ。興味のある方はどうぞ。キャッチ・コピーに「考えるな!感じろ!」とあるがバカになって観ろということなんでしょう。「考えて=正気で」観たらスクリーンに火を付ける方々が出るかもしれない。
そういえば主演の石天龍(セキ・テンリュウ)という男、本人曰く「夢の中で」ブルース・リーから直接指導を受け、門下生が20万人いるらしい。映画に進出してきたことも含めてGOグループのオオガミゲンタ氏と同じスメルがするする。今後カンフー映画界に旋風を巻き起こすかもしれないので覚えておきましょう。
とにもかくにも映画が終わった瞬間に客席の至るところから自嘲気味の笑い声が起こっていたのがとても印象的ですな。否、笑い声ではなくドラゴン予備軍たちの悲しみの咆哮だったに違いない。だがブルースの幻影を追い求める真のドラゴン予備軍ならばこれくらいでは負けないはず。次のカンフー映画でまた会おう、再見!
(04292002)
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