
| エバークエスト2の魅力と限界 |
「エバークエスト2(Ever Quest 2)」は、MMORPG(大規模多人数参加型ロールプレイングゲーム)の中では最も新しいものの一つです。
以前からMMORPGに興味を持っていた私は、ADSL契約を契機にウルティマオンラインを試してみて、次に発売されたばかりのエバークエスト2にも手を出してみました。
最初は、難民の島(チュートリアル用の初心者用エリア)で経験値稼ぎに奔走するプレイヤーキャラクタ達を見ているうちに「ウルティマオンラインのほうがマシではないか」と思っていたのですが、他のキャラクタとパーティを組んで行動するようになってからは抜け出せないほど熱中してしまい、「なるほど、これが噂のエバークエスト中毒というやつか!?」と実感したのであります。どれ程熱中したかというと、三ヶ月間は遊びっ放しで、プレイヤーキャラクタを三人作り、一人はレベル40を超えました(エバークエスト2の限界レベルは50)。この期間、家にいる時間の大半はエバークエスト2に費やしました。
今回は、そんな「エバークエスト2」について、魅力から限界までを書いて行こうと思います。
1.プレイヤーキャラクタ作成
エバークエスト2では、プレイヤーキャラクタの作成は、種族の選択、外見の作成、および名前の決定だけに限られます。
キャラクタの職業はゲームを進めてゆくうちに決定されるのです。最初はファイター、メイジ、プリースト、スカウトの四種類から選択し、後にそれぞれが三種類に細分化され、最終的には24種類もの職業のうちの一つに就くことになります。
キャラクタの種族も非常に多く、人間やエルフといったおなじみのものから、ネコやトカゲ、オーガやトロル、果てにはネズミやカエルといった人種まで選べます。外見もかなり細かく設定でき、なるほどメーカー側が言うように「二人として同じ姿のプレイヤーキャラクタは存在しない」といった雰囲気ではあるのですが、実際には髪型が外見を強く印象付けてしまい、髪型と髪の色が同じキャラクタは区別し辛いのが残念です。
あとプレイヤーキャラクタ作成時には、「善の町」と「悪の町」のどちらかに所属するかを選択しますが、どちらを選んでもゲームの展開に大きな影響を与えることがないのが残念です。将来はこのシステムを生かした仕掛けが実装されるのでしょうか?
2.ゲーム開始
ゲームを開始すると基本的な操作を学べるチュートリアルから始まります。ナレーションのおじさんが、操作方法を一から説明してくれる超親切設計です。説明書を読まなくても操作を覚えることができます。
ただ、欲を言えば、他のプレイヤーキャラクタとチャットする方法にも触れて欲しかったと思います。
エバークエスト2のチャット機能は充実している分、最初は戸惑います。他プレイヤーとの意思疎通の方法が分からないというのは、大変に辛いものです。
チュートリアルを終えると、全てのキャラクタは難民の島に到着します。
私は最初、ここが本格的なゲームの始まりであるのかが分からず、どうやったら町に行けるのかと途方にくれました。結局は、ネット上や書籍の情報を見て、ここも初心者用のチュートリアル的な意味を持つエリアであることと、まだ本格的なゲームの始まりではないことが分かりました。
難民の島は、適当にレベルを上げているうちに出られるようになります。ここからが本当のゲーム開始です。
3.クエスト
今回の記事も、ここからが本番です。
エバークエスト2は、その名の通り、クエスト(NPCから課せられる任務やお使い)を消化することが中心となるゲームです。
町や野外を少し歩きNPCと話すだけで、山のようにクエストを受けることになります。
最初の頃はソロ(プレイヤーキャラクター1人で遊ぶこと)で充分消化できる難易度ですが、レベルが上がるに従って難しくなり、レベル30を超えるとソロで消化できるクエストは激減します。
ここでエバークエスト2のもう一つの特徴、グループ(プレイヤーキャラクタが数人集まること、または集まって遊ぶ事)が重要となってくるのです。
最初の頃は、このグループが非常に面白く、「こんな面白いゲームがあるんだ!」と感動したものです。
長所と短所を持った様々なキャラクタ達が集まり、それぞれ技を駆使して敵と戦いクエストを消化してゆく・・・・・・プレイヤー達は戦士や魔術師になりきって敵と戦う、これもロールプレイの一つの形なんだなあ、と考えさせられました。
そして最初の頃は、皆が初心者なものですから、不慣れな分、グループの驚きと喜びも大きいものがありました。協力して強敵に打ち勝った時に一緒になって喜び、他キャラの技に驚き、逆に自分のキャラの能力を自慢して・・・。クエストも皆で協力して進めてゆくのが楽しくて、この頃は「一日中エバークエスト2で遊んでいたい」と思ったものでした。
仲の良いプレイヤーとグループを組んで、「いや、ここは違う、ここはこうだろう」と案を出し合いながら、時には冗談も交えてクエストを進めてゆく・・・。例えクエストを解決できなくても、グループで過ごした時間は、どのゲームでも味わえない貴重なものでした。
グループでのクエストは、消化して得られる報酬などの「結果」よりも、仲間たちと共に冒険を楽しむという「過程」が大事なのだと、今になって実感しています。
しかし残念なことに、こういった楽しいグループ遊びは終わりを告げることになります。
まず、レベルが30を超えた辺りから、クエストの難易度が上がり、グループでも厳しくなってきます。クエストの消化に必要な時間も激増し、敵を何十体倒せというクエストが続々出てきます。つまり、効率が求められるのです。効率が求められる分、グループ内でのプレイヤーの責任も大きくなります。誰か一人がミスをすれば、他のキャラクタの命を危険にさらし、任務の成功を危うくし、貴重な時間を無に返すことにもなりかねません。
気がつけば、楽しいロールプレイは、いつのまにか責任重大な作業になってしまっていたのです。
また、効率が求められる分、クエスト消化の過程も変わります。
素人同士が案を出し合いながら協力して進めていたクエストが、詳しい人の指示通りに動くだけの作業になってゆくのです。
詳しく説明しましょう、レベル30前後からは、クエストも無理難題が多くなり、既にクエストを終わらせている人の助けを借りなければ消化できないようなものが出てきます。そういったクエストをやる場合には、一人以上の詳しい人がグループを指揮し、「ここで***を触って」、「ここの台詞で会話を止めて」、「ここで***(NPC)が沸くまで何時間待って」などというように細かく指示をするのです。他のプレイヤーは、詳しい人の指示に従って作業をするだけ。指示通りの行動に失敗すれば、それ相応の結果が待つこともあります。
私が最初にエバークエスト2に失望したのは、ここでした。
さらにプレイヤーのレベルが上がってくると、「人よりも良いものを持ちたい」、「人よりも高い能力を得たい」という欲望が沸いてきます。
報酬目当てでのクエストの遂行は、純粋にクエストの過程を楽しんでいた頃とは違い、明らかに殺伐としてくるのです。
特に「ヘリテージ(=遺産、前作に登場した強力な魔法の品物を手に入れるためのクエスト)」は酷いものでした。このヘリテージは報酬の大きさから、難易度や手間も信じられないほど高くなっています。本来であれば、ここまでのクエストは、狙って消化するというよりも、「たまたま消化できて強力な品物貰えてラッキー♪」といった程度のものだと思うのですが、現実は厳しいものです。レベルが40前後になる頃には、ヘリテージの品物は持っていて当たり前という世界になってきます。
攻略重視、戦闘重視、報酬重視のエバークエスト2の実態が明るみになるのです。
ヘリテージで何が一番大変かというと、希少なNPC(いわゆるモンスター)の討伐です。数時間に一回出現するか出現しないか、というレベルの敵を延々と待つことになります。当然、他のグループも同じように希少な敵を狙ってきますから、取り合いになります。ちなみに、このNPCの取り合いは、ヘリテージに限った話ではなく、クエスト全般で当たり前のように起こります。こんな作業が楽しいはずがありません。まだ、気の合うプレイヤーとグループを組んで、話に花を咲かせて待つのであれば楽しいのですが、そうでない場合は推して知るべし、です。
だいたい、大規模多人数参加型ゲームは、希少なNPCを取り合いするために大規模多人数参加型にしているのでしょうか?根本的に違うような気がします。そういう話をベテランのプレイヤーにすると、「ヘリテージとはそういうものだ。これでも前作より楽になった」ですから、ねえ。
だから本来は、ヘリテージとは幻の品物であるべきだと思うわけです。
あとエバークエスト2のクエストは、土台の部分からして変です。
せっかくの大規模多人数参加型ゲームなのに、クエストの内容は一人用ゲームと同じなのです。基本的にやってることは、洞窟やフィールドを探索して敵を倒して品物を発見する・・・これだけ。単に難易度が高いため、複数のプレイヤーで協力しなkれば終えられない、そんな感じです。
大規模多人数参加型なのだから、クエストの内容もそれなりのモノができると思うのですが・・・。
あとこのシステムは、世界のリアルさという点から見ても変です。
たとえば、「***(一人しかいない洞窟の主のような敵)を倒してくれ」、「***を救出してくれ」というクエストは頻繁に受けられます。しかし、プレイヤーがそれらのクエストを完了しても、相変わらずクエスト対象の敵は存在しますし、救出したはずの人も捕まったままです。全てのプレイヤーが同じクエストを受けられるようにするためには仕方のないことですが、全くもってリアルではありません。つまり、クエストの内容が一人用ゲームそのものであるための弊害です。
エバークエスト2の世界は、大規模多人数参加型であることを前提にしているというよりも、一人用ゲームを大規模多人数参加型にしました、といった雰囲気なのです。
4.レベル上げ
エバークエスト2においては、キャラクタのレベルは大きな意味を持ちます。一つレベルが上がるだけで、キャラクタは生まれ変わったかのように強くなるのです。そのため、多くのプレイヤーは、自らのキャラクタのレベルを上げるために奔走します。
レベルを上げるには、クエストを完了するか敵を倒す必要があります。クエストを完了しても、得られる経験値は多くの場合大したことないので、敵を倒すことが経験値稼ぎの一番の手段になります。
最初の頃は経験値はガンガンたまるため、特に「経験値を稼ぐ」という意識もなく遊ぶことができます。しかしレベルが上がるにつれて経験値は稼ぎ難くなり、レベルが40を超える頃にはヒロイックエンカウンター(通常よりも強い敵を相手にした経験値の多い戦闘)に数回勝利しなければ、1%も稼げません(経験値が100%になるとレベルが上がります)。つまり、単純な戦闘を延々と延々と続けなければ、レベルを上げることは叶わないのです。
これは恐ろしく単調でつまらない作業となります。
ベテランプレイヤーにこのことを話すと、「他のMMORPGよりレベル上げるのは楽だ」ですから、そういうものなのかもしれませんが・・・。
そういうシステムなので、遊ぶ時間のある人と無い人の差は顕著に現れます。数字として能力差が現れにくかったウルティマオンラインとは違い、エバークエスト2の場合はレベルとしてハッキリと表示されます。
一応、エバークエスト2には、キャラクタのレベル差を緩和する「メンター」というシステムが用意されています。しかしこのメンター、とても面倒くさい代物なのです。何が面倒かというと、アーツ(魔法や技の総称)の調整です。アーツは、同じ効果を持つものでもレベルが上がると上位版を覚えるため、ショートカットには上位版のアーツを登録してゆくことになります。しかしメンターで低いレベルのキャラクタにレベルを合わせると、当然ながら上位版のアーツは使えなくなり、ショートカットには下位版のアーツを再登録しなければなりません。メンターを解けば、再び上位版を入れなおしです・・・。そのため、メンターをしたがらないプレイヤーも少なからずいます。
思うのですが、同じ効果のアーツを何種類も用意するよりも、レベルの上昇と共にアーツの効果が増してゆく方式で良いのではないでしょうか?そうすればメンターの使い勝手は倍増し(いや、それ以上か)、レベル差を気にせずに遊べるようになるのですが・・・。
5.生産
エバークエスト2にも、他のMMORPGと同じように、生産の概念があります。
しかも生産のためのクラスまで用意され、通常の冒険者クラスと対を成すものとして扱われています。しかし実際には、生産者クラスを追求して得られるもの(報酬に限らず)は、冒険者クラスを上げて得られるものとは比較できないのが残念です。
エバークエスト2の生産で最初に驚くのは、生産事態が一つのゲームとして成り立っていることです。ウルティマオンラインの場合は、生産は成功か失敗だけの世界でした。しかしエバークエスト2では、生産にもアーツが用意され、プレイヤーは進捗状況を確認しながら技を駆使し、品物を生産してゆくのです。このシステムには感動し、「なんて素晴らしい生産なんだ」と思いました。
でも・・・やはりというか、なんというか、生産もレベルが上がるに従って、面倒なだけの単純作業になってしまいます。グループを組んで楽しむという概念が薄い生産のことですから、怪物退治よりも単調になりがちです。しかも一つの品物を生産するにも、材料の収集から下ごしらえまで 非 常 に 面倒なものですから、よほど好きでなければ楽しめないのではないでしょうか。
あと生産の場合は、普通の怪物退治と違い、高レベルキャラクタは低レベルキャラクタの完全上位互換ですから、40レベルや50レベルの生産者がいる世界で生産をやる気が失せるということもあります。これはウルティマオンラインでも当てはまることですが・・・。
生産したものは、もちろん販売できます。
エバークエスト2には、「ブローカー」というシステムがあり、プレイヤーは面倒な手続きなしに簡単に品物を販売できます。このブローカー、プレイヤーが登録した品物を自動で販売してくれるという、実に便利な仕組みなのですが、便利すぎてつまらない点は否定できません。
例えば、ウルティマオンラインのように道端で品物を売るキャラクタもいませんし、販売者との駆け引きややり取りをしながら買い物を楽しむこともできません。
ブローカーは、まるで自動販売機です。
怪物討伐とレベル上げとクエスト消化に重点が置かれたエバークエスト2に適した、効率的なシステムではあります。
6.チャットとグループ
エバークエスト2の効率重視のシステムは、チャットとグループ編成の方法にも現れています。
プレイヤーはグループを探している場合は、「LFG(Looking
For Group)」フラグを立てて、他のプレイヤーはそれらのプレイヤーに直に話しかけ、誘うことができます。たとえLFGを立てているプレイヤーが、自分とは違う場所にいても、世界の果てにいたとしても、問題なくグループに誘えます。ウルティマオンラインと比べると信じられないほど便利な仕組みです。このシステムにより、プレイヤー同士はグループを簡単に組み、クエストを消化できます。
一見すると良い事尽くめのシステムですが、やはり便利すぎるのです。
プレイヤーはどこにいてもグループを組めるため、プレイヤー同時で顔をあわせる必要がありません。つまり、打ち合わせや集合といった概念がないのです。そのため、プレイヤー達は、人の集まる場所でグループに誘う人を探すといった事はしません(できません)。人の集まる場所はブローカーの周りばかりです。雰囲気を追求するなら、酒場にプレイヤー同士が集まると面白そうなのですが・・・エバークエスト2では、そういった雰囲気も楽しむことができません。まさに効率重視の世界です。
チャットも例外ではありません。現在いるゾーンの全てのキャラクタに届くOOC(Out
Of Character=キャラクタではなく、プレイヤー同士の会話)という便利な仕組みがあるため、l何かモノを人に尋ねる場合でも、その場を一歩も動く必要がないのです。
これらの便利なシステムは、ロールプレイよりも戦闘やクエスト消化を重視するエバークエスト2ならではのものかもしれません。
7.グラフィック
超美麗なグラフィックは、エバークエスト2の大きな特徴です。
2,3年前にMorrowindの画面を見たときは、「何て美しい画面なんだ」と思いましたが、時の流れとは残酷なものです。エバークエスト2の画面・・・特にキャラクタ関係を見た後では、Morrowindのキャラクタは、紙細工かファミコンゲームのキャラクタに見えてしまいます。それほどまでにキャラクタの動き、質感、および滑らかさに差があるのです。技術の進歩とは恐ろしいものだと実感します。逆に言えば、エバークエスト2の画面も、2、3年後のゲームを見た後では古く感じてしまうのでしょう。画面の美しさなどナマモノのようなもの、画面の美しさだけを特徴とするゲームが駄作と呼ばれる理由が分かる気がします。
エバークエスト2が凄いのは、単に画面が綺麗なだけではないところです。例えば描画距離の広さが挙げられます。エバークエスト2の世界では、プレイヤーは、遥か彼方の山脈まで見渡すことができるのです。この開放感は、他の作品ではなかなか味わえません。また、水面の処理、雨にぬれる地面、地表に生える植物など、挙げてゆけばきりがないほどです。
冒険の舞台にも様々なものが用意されており、大都市、村、なだらかな平原、山脈、サバンナ、森林、河、海、ジャングル、雪原、火山、荒野、砂漠・・・想像できるありとあらゆる舞台が用意されています。そこに生息する生物も個性的で、驚くほど精密に描写されます。動きもなかなかリアルです。
総合的に見て、エバークエスト2のグラフィックは、現時点では最高レベルではないかと思います。世界を見て回るだけでも楽しいものです。






8.さいごに
以上、駆け足でエバークエスト2の魅力、および限界について書いてみました。
ちなみに私は、先日エバークエスト2をやめることにしました。理由は、今まで書いた通りです。
しかしエバークエスト2の中毒性の高さは実感できた気がします。最初は面白くて食い入るように遊び、ある程度キャラクタが成長すると「より強くなりたい」「より良い装備を持ちたい」と思うようになり、高い力と装備を得た後には「それらを失いたくない」とプレイ(または支払い)を続けるという・・・。人の欲をうまく刺激する、よく出来たゲームです。